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宇都宮ギョーザで あの夜を思い出した

宇都宮がギョーザ日本一の座を浜松に奪われた。もっとも震災の影響で工場が停止してしまったからだそうで、浜松の人たちもこれでは喜べないだろう。

 

一度だけ宇都宮で餃子を食べたことがある。

数年前の春、二人で鬼怒川温泉に一泊旅行することになり、その計画に「宇都宮で餃子」を組み込んだ。当時住んでいた東京から電車で栃木方面に向かった。一日目は夕方まで東武動物公園、その後、宇都宮に立寄り早めの夕食で餃子を食べ、鬼怒川温泉の宿には21時到着で予約をしていた。

夕暮れ時に目当ての餃子専門店にたどり着くと、すでに行列だった。電車の時間を気にしつつ列に加わったが、無事に順番が来て美味しい餃子にありつけた。駅前にある餃子像の、過去に真っ二つに割れた修復あとを確認し、餃子キューピーまで購入する余裕っぷりだった。

電車のルートはもう一人に任せていた。JRから東武線に乗り換えるのは普通は日光駅だが、遠回りになるので日光までは行かず、手前のJR今市駅で降りて、数百メートル歩けば東武線下今市駅に先回りできるという。私たちはJRを今市駅で降りた。駅前に東武線下今市駅までの地図があった。私はそれをちらっと見て複雑な道のりではなさそうだと思ったし、もう一人が事前に調べてわかっている。乗り換え時間に余裕はないということで先を急いだ。

ところが私たちは道に迷ってしまった。

今、その付近の地図を確認しみても、なぜそうなったのかわからない。迷い様もない単純な道のりだ。

夜道を20分近く歩いた頃、さすがにもう駅に着いていないとおかしいし、何より電車の発車時刻が目前でパニック状態だった。一時間に何本とない路線、次の電車がいつ来るのか調べるのも怖い。道を尋ねようも通行人が見当たらない。私はなぜ自分で地図を確認しておかなかったのか悔やみ、また、もう一人の準備不足と方向音痴を責めた。

二人とも険悪になりながら見知らぬ土地をさまよい、どうにか人が集まっている店の前に出た。白衣の人が見えた。調剤薬局のようだった。これで駅がどこか聞けると思ったら、黒っぽい服装の男の人が向こうから近づいてきた。我々に向けてサッと一瞬かざしたのは本人の顔写真で、なんと警察手帳だった。

つい先ほどここで事件があって周りの人に話をきいている、ようなことを言われた気がするが、その時の我々の頭は「駅はどこ」で占められていたのでよく覚えていない。急いでいるのですみません、(それより)下今市駅に行きたいんですけど...、と、すごい勢いで逆に質問を返して、その刑事さんに道を教えてもらった。しかしその時点で、乗る予定だった電車の発車時刻になっていた。

結局、追加料金を払ってその次に来た特急電車に乗り、10分遅刻して鬼怒川温泉の宿に着いた。

 

後から調べて、調剤薬局の事件は強盗だったと知った。

私たちが道に迷ってうろうろしていた時間、まさにその時間その周辺を強盗もうろうろしていたわけである。よくよく考えると恐ろしい。それと、刑事ドラマでしか見られないと思っていた警察手帳のチラ見せ。あの時は受け流してしまったが、よくよく考えると、もう二度とない貴重な瞬間だったのかも知れない。